この曲には、二つの思い出があります。そのうちの一つを、
今回は書きたいと思います。
アメリカの某音楽学校に行っていた時の事です。いろんな
授業がある中、グループレッスンというのがあって、一回
のレッスンで3人づつみんなの前で歌って、お互いに批評し
合うという物でした。
初めての日、私は聞き役だったのですが、3人目に歌った
黒くて大柄な女の子のサマータイムを聞いて、ぶっ飛んで
しまいました。やっぱり、血が違うんだ…としか言いよう
のない、凄い迫力の声でした。次の週は、私の番が回って
くる…そう考えただけで、憂鬱でした。何しろポリープの
手術をして、1年半しかたっておらず、歌に復帰して1年足
らずだったのです。
一週間は、あっという間に過ぎて、私は何を歌うかも決め
ないまま、レッスンに出ていました。次は私の番という時、
全てがふっきれました。うまく思われたいとか、カッコ悪
いことしたくないとか考えるのはよそう。もともと私には、
一生懸命歌うって事しかないじゃない!と開き直ったのです。
その時選曲したのが、Georgia on my mindでした。
たぶん声もひどいし、発音も悪いしで、あまり誉められた
ものじゃなかったはずなのに、みんな立ち上がって大きな
拍手をくれたのです。例のサマータイムの女の子は、何と
私を抱きしめて、「Great!」 とか、いろんなことを言って
くれました。
(あまりの事にボーッとなって、私の頭の翻訳機能が停止してました)
それからというもの、この曲を歌うたびに思い出すのが、
あのブラックの女の子のがっしりとした腕と、あの時、
胸に込み上げた、熱い思いです。